国連創設80周年記念フォーラムが世界連邦日本国会委員会主催で開催(27/10/2025)

2025年10月27日、世界連邦日本国会委員会の主催により、衆議院第二議員会館で「国連創設80周年記念フォーラム」が開かれた。国連大学学長・国連事務次長のチリツィ・マルワラ、中国より来日した国連中国常駐調整官のシッダールタ・チャタジーを迎え、超党派の国会議員、有識者、国際機関関係者が一堂に会し、激動する国際環境の中で「多国間主義をいかに再生するか」を議論した。

開会挨拶で海江田万里・世界連邦日本国会委員会事務総長は、国連80年の歩みを振り返り、日本が果たしてきた国際協調・平和外交の系譜を再確認した。続いて福山哲郎・参議院副議長は、今月のG20国会議長会議で共有された「法の支配と国際秩序への危機感」を紹介し、議会外交の重要性を指摘。民間代表として登壇した大橋光夫・世界連邦運動協会会長は、国連を含む国際機構と国際法の改革・強化、さらには世界連邦構想の理念を改めて確認し、80年の節目を未来志向の行動につなげるよう呼びかけた。

基調講演の第一部でマルワラ学長は、国連80年・国連大学50年の節目に日本の長年の貢献を高く評価。国連大学が世界12か国13研究所のネットワークへ拡大した現状と、日本全国47都道府県で市民と対話を進める方針を紹介し、日本の「調和の精神」を平和・尊厳・持続可能な発展の基盤と位置づけた。第二部ではチャタジー常駐調整官が、事務総長提唱の「未来サミット」と最終文書「未来のための協定」を“北極星”に例え、多国間主義の再生に日本・中国・韓国の三国協力が鍵になると強調。中国の極貧削減の事例を引きながら、政治的意思・公共政策・パートナーシップの三要素を成功の条件として示した。質疑では、東アジア地域秩序、AIP構想、人権・気候・公衆衛生といった共通課題に関する応答が交わされ、日本の歴史と知恵に根差す「信頼醸成のリーダーシップ」が再確認された。

各党議員からの発言も続いた。自民党の高村正大は、低い食料・エネルギー自給率を踏まえ「世界の平和と安定こそ日本最大の国益」と強調。立憲民主党の森山浩行は、多国間機関への基礎的支援の持続性を訴えた。国民民主党の籠島彰宏はOECD勤務時の経験から、地球的課題への国際協調の要を提起。日本維新の会の青柳仁士は、危機を国連再編の好機と捉える改革の視点を提示し、日本共産党の小池晃は国連憲章と世界人権宣言の精神を日本国憲法と重ね合わせて実践を促した。社会民主党のラサール石井は「第九条が要請する巧みな外交」を掲げ、れいわ新選組の阪口直人は民主主義と人間の尊厳を守る政治の責務を指摘。若手の川原田英世は、グリーン技術等を通じた日本の地域的存在感の回復を提案し、若い世代の役割が強調された。

フォーラムは、多極化の進展と国際秩序の揺らぎという現実を直視しつつ、日本が「信頼と対話」を核に多国間主義の再生を主導する道筋を示した。80年の歴史を未来への行動に接続し、平和・尊厳・平等・持続可能な発展を実現するための実務的連携(トラック2/3を含む)の拡充が、出席者の共通認識として共有された。

本会議の詳細な情報や、各登壇者の発言全文はこちらからご覧ください。

レポーター:井門孝紀

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