国連改革の好機と多国間外交の重視 ― 外務省・三宅参事官の所感 (27/10/2025)

国連創設80周年という節目に、既存の国際秩序が挑戦を受け多国間主義が困難に直面する現状を踏まえ、議論の場の意義を強調。国連総会での石破総理演説(「分断より連帯」「対立より寛容」)に触れつつ、安保理改革の緊急性と「UN 80イニシアティブ」を紹介。国連機能強化と多国間外交を重視し、日本の国益と国際公共善の双方に資する貢献を続ける意志を示した。

レポーター:井門孝紀。

なお、この会議のより詳細な内容はこちらからご覧ください。

発言全文

このような機会にお招きいただき、本当にありがとうございます。国連創設80周年という状況の中で、国際情勢は本日多くのご指摘があったとおり大きく変化している。既存の国際秩序は挑戦を受けており、多国間主義も困難に直面している。
そうした状況の中で、このような議論の場が設けられていることは、外務省としても大変意義深いと考えている。本日、私もさまざまなご意見をしっかりと拝聴した。誠にありがとうございました。
本年9月の国連総会ハイレベルウィーク一般討論演説において、当時の石破総理から「国連は現在、果たすべき役割を果たしているのか」という問いかけがなされた。さらに「分断より連帯」「対立より寛容」を呼びかけたことは記憶に新しい。同じ演説の中で、安保理改革の重要性についても石破総理は訴えた。昨年9月に採択された「未来のための約束」においても、安保理改革の緊急の必要性が認識されており、これは大変大きなことだと我々は受け止めている。
こうした中で、国連創設80周年を迎えた本年、グテーレス国連事務総長による「UN 80イニシアティブ」が進められている。国連の効率性と実効性を高めていくことは、21世紀にふさわしい国連とする観点から、政府としても的を射たイニシアティブであると認識している。先ほど根本所長からも指摘があったが、2026年は日本の国連加盟70周年に当たる。
日本および国際社会の双方にとって、国連改革に向けた好機だと政府としても考えており、このモメンタムを生かして、国連が設立目的である「国際の平和と安全の維持」を果たせるよう、安保理改革を含む国連の機能強化にしっかりと取り組んでいきたい。
政府としては、今後も国連を中心とする多国間外交を重視していく。本日いただいたさまざまなご意見・ご指摘・ご指導も踏まえ、我が国の国益を守ると同時に、国際社会の主要なプレーヤーとして、国際の平和と安全の実現・維持、ならびに地球規模課題への対応にも積極的に貢献していきたいと考えている。
本日のご議論はもとより、これまでも世界連邦日本国会委員会の皆様から多くのご指摘・ご提言をいただいている。こうした点も踏まえ、政府として取り組んでいきたいので、引き続きご指導賜れば幸いである。最後に、世界連邦日本国会委員会のますますのご活躍・ご発展を祈念し、私からの挨拶とする。本日も本当にありがとうございました。

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