人が「安全かつ尊厳をもって移動」できる世界へ—IOMの包括的支援と日本への期待(保田由布子 IOM上級民間連携担当官)(27/10/2025)

IOM駐日事務所の保田由布子・上級民間連携担当官は、紛争・災害・貧困など多様な要因による移動に対し、IOMが安全・合法・尊厳ある移動と受入社会への定着を支援する一方、国境管理や気候変動対策など「移動を防ぐための支援」も展開していると説明した。IOMは2016年に国連に正式加盟したが、活動は1950年から継続しており、移住を推進するのではなく三者(送り出す国・受け入れ国・当事者)に利益のある「良い形の移動」や、移動を避けられる社会づくりを目指すと強調。日本を最重要支援国の一つと位置づけ、より良い人の移動の在り方を日本と共に考えたいと述べた。
レポーター:井門孝紀
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発言全文

保田由布子 国際移住機関 駐日事務所 シニア民間連携担当官
国際移住機関(IOM)駐日事務所でシニア民間連携担当官を務めている保田である。
本日はクヌート・オストビー代表の代理として出席している。このような機会をいただき、心より感謝申し上げる。

IOMは、紛争や災害、貧困など様々な理由で移動を余儀なくされた人々を支援する国連機関である。強制的に避難する人々だけでなく、より良い生活や雇用を求めて他国に移住する人々も対象としている。

私たちは、人々が安全かつ尊厳をもって合法的に移動できるよう支援し、移住先の社会に円滑に定着できるよう活動している。同時に、移動が社会や経済に悪影響を及ぼさないよう、国境管理の支援や、気候変動対策など「移動を防ぐための支援」も行っている。

IOMは2016年に正式に国連に加盟した比較的新しい国連機関であるが、その活動は1950年から続いている。国連加盟の背景には、人の移動が現代社会において極めて重要なテーマとなっている現実がある。

私たちは移住を推進しているわけではない。送り出す国、受け入れる国、そして移動する当事者のすべてに利益のある「良い形での移動」を実現すること、あるいは移動を避けられるような社会づくりを目指している。

日本はIOMにとって最も重要な支援国の一つであり、これまで多大な貢献をいただいてきた。今後も日本の皆様と協力し、より良い「人の移動」の在り方をともに考え、取り組んでいきたい。
どうぞよろしくお願い申し上げる。

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